2025年6月定例会・一般質問(若者に選ばれる労働環境、こども家庭庁との関連)

●「若者に選ばれる労働環境」について

【質問①】
 「公務職場の離職者の増加傾向」についてです。
 総務省が毎年実施している「地方公務員の退職状況等調査」によると、全国の地方自治体における一般行政職の普通退職者が年々増えており、2017年度に60歳未満で退職した職員6,883人に対し、2023年度は14,222人と約2倍になっています。
 山形県においては、2017年度の60歳未満で退職した職員139人に対し、2023年度には436人と、約3.1倍に膨れ上がっています。
 全国の自治体で、普通退職者が増えていることは、留意すべき課題として取り上げられていますが、この課題の背景と要因について、どの様に考えているか教えてください。
【答弁①】
 総務省の地方公務員の退職状況等調査によると2017年度の一般行政職の普通退職者は7,123人で、このうち60歳未満は約97%の6,883人、2023年度の一般行政職の普通退職者は2万839人で、このうち60歳未満は約68%の1万4,222人となっており、一般行政職の普通退職者は増加しております。
 また、国家公務員のデータになりますが、令和3年度に働き方改革の課題や対策を特定するために約5万人の国家公務員を対象にしたアンケートの調査結果では、数年以内にやめたいとの離職意向を示した職員が5.8%の約2,900人となっており、主な離職意向の要因は、30代以下で「自己成長できる意欲的な仕事につきたい」「仕事を通じて専門性スキルが磨かれている実感がない」といった結果になっております。
 このように本人の希望により普通退職を選択する職員の増加は、全国的な課題となっております。
 この状況を踏まえて、職員が長く働き続けることができ、また、職員が自らやり甲斐を持って公務に取り組み、多様な働き方が選択できるよう、自己研修などへの支援の他、フレックスタイムやテレワーク、育休の制度などを充実し、職員のやり甲斐の向上と働きやすい職場環境の整備を進めてまいります
【質問②】
 「若年層の離職者の増加傾向」についてです。
 総務省が2022年度に行った「地方公務員行政に関する自治体アンケート」において「若手職員の離職率が上昇傾向にある」の項目に「そう思う」と回答した自治体が全体の69%になっています。
 先に紹介した「地方公務員の退職状況等調査」によると、2017年度の35歳未満で退職した職員3,477人に対し、2023年度には7,639人と、約2.1倍になり、普通退職者全体の半数を占めています。
 2024年度に市の一般行政職で退職した職員が59人となり、若年層の普通退職も多かったようです。
 若年層の普通退職が続くようであれば、公務に支障が発生し、住民サービスの低下につながると思いますが、この課題の背景と要因について、どの様に考えているか教えてください
【答弁②】
 先程の答弁と同様に若年層の普通退職も全国的な課題となっています。
 総務省の地方公務員の退職状況等調査では、2017年度の一般行政職の普通退職者7,123人のうち、35歳未満の一般行政の普通退職者は約49%の3,477人、23年度は一般行政職の普通退職者2万839人のうち、35歳未満は約37%の7,639人となっております。
 一方、本市における2024年度の病院と再任用を除いた退職者のうち、35歳未満の退職者は17名で退職者全体の約29%となっています。
 主な退職理由は、自身の自己成長を目的とした民間企業等への転職や首都圏など都市部での生活を希望しての、国や他自治体への転職などとなっております。
 このような自己成長など前向きな動機で退職する方を職員として引き止めることは難しく、こうした職員が一定数いることも避けられない一方、若年層を含む退職者の増加により、専門性のある職員等が不足しないよう退職者の補充は重要な取り組みと捉えております。
 本市に移住を希望する方も毎年一定数おりますので、本市の職員採用において移住 希望者の採用も念頭におきながら、UIJターンの採用試験を実施し、専門職等の人材確保に引き続き取り組んでまいります。
【質問③】
 「魅力のある職場づくり」について伺います。
 第2次総合計画に5つの加速化アクションを追加し「若者・子育て世代に選ばれるまちづくり」「本市で活躍して、ここで暮らしたいという若者や、鶴岡で子育てをしたいという人を増やします」を第一の政策に掲げており、若者の地元回帰・定着の促進の政策として、就職活動や奨学金返済支援などを実施していますが、2024年8月に鶴岡商工会議所と鶴岡地区雇用対策協議会が地域の採用状況を把握したアンケートによると、採用予定人数を確保できなかった事業所(未充足+採用出来なかった)は93社61.6%で前回調査から5.7ポイント悪化しているとのことです。
 鶴岡市で多くの人から働いてもらうためには、賃金や労働条件の改善とともに「働き甲斐のある魅力のある職場づくり」を、市の政策として掲げ、地域全体に広げていく必要があると思います。
 まずは、市役所から「若者・子育て世代に選ばれる、働き甲斐のある魅力のある職場づくり」の取り組みを行い、市内企業の雇用向上をけん引していく必要があると思いますが、この課題について、どの様に考えているか教えてください
【答弁③】
 本市職員の給与や勤務条件は地方公務員法や人事院勧告など国の定めに則り、国や他団体の職員、民間企業従事者の給与や勤務条件との均衡を図るため、社会一般の情勢を注視しながら必要な見直し等の対応を行っております。
そのうえで、本市における働き甲斐のある魅力のある職場作りにつきましては、引き続き時間外勤務の縮減につがるよう業務の見直しや削減、効率化などに取り組んでまいります。
 また、先ほどの答弁で申しましたように多様な働き方を選択できるよう、本市ではフレックスタイム制度を導入しております。導入した令和2年度の取得職員数は177名で取得割合が20%であり、令和6年度の取得職員数は220名で取得割合が24.9%となっており、職員の間で徐々に制度の浸透が図られております。
 令和6年度には30名の職員が参加して、テレワークの施行を実施しており、令和8年度からの本格実施に向けた準備を進めてまいります。
 また、職員の福利厚生の充実と働きやすい職場環境作りを目的として、令和7年3月3日から市役所地下の旧食堂スペースを職員の休憩や打ち合わせなどで使用できる職員ラウンジとして活用しており、今後はオンライン会議等の通信環境の充実を図り多くの職員の利用につなげてまいります。
 若年層の職員への対応では、新採職員が先輩職員に業務等で不安なことなどを相談できるメンター制度を試行期間も含め、令和4年度から導入し、新規採用職員をサポートしております。
 令和6年度に実施したアンケートによるとメンターと気軽に会話相談する中でサポートされていると感じますかとの質問に、とてもそう思う、まあそう思うと回答した新採職員は約94%であり、同制度が新規採用職員のサポートにつがっていると考えております。
 さらに令和5年度から庁内横断的に、若手職員がチームを結成して積極的な政策提言を行うWBCプロジェクトを開始しており、令和7年度には政策提言のあった婚活支援事業等を予算化するなど、若手職員が政策立案に関わることで、モチベーションの向上と人材育成に繋がっていることから引き続きこの取り組みを継続してまいります。
【再質問】
 若年層の普通退職についてですが、働き方として、ひとつの組織で定年まで働くことを考えていないケース、今回紹介いただいたのはキャリアアップを図るということで、個人の退職理由によって引き止めることができないというような話もありました。
 取り組みを色々ご紹介いただいたんですが、それを持ってしてもやめていく職員がいるということです。
 市役所に魅力や働き甲斐を感じていればこそとめることができる課題だったと私は思っています。
 これまでと同じようなことを繰り返しては、今後こういった若い人の市役所での働きこういったものを引き止めることは難しいと思いますので、改めていくつか考えていただきたいと思います。
 市職労が実施した職場点検アンケートによれば、課内の業務見直しに関して「慢性的な人手不足や常に極限状態にある」「業務量が増えたが会計年度任用職員の配置しかしてもらえない」、負担に感じていることに関して「業務分担に無い雑務がある」「仕事を相談できる人がいない」「大量の業務に対して短期での結果を求められる」、職場で生じている課題に関して「スクラップアンドビルドのビルトばかりでスクラップできていない」「空振りする使わない資料づくりが多い」「業務を見直さず人員を削減し、休暇取得を推奨するのは矛盾している」などの意見が寄せられています。
 このような要求が続いていく中で、とても市役所から若者・子育て世代に選ばれる働き着替えのある魅力のある職場作りは進まないと思いますが、再度答弁をいただければ。
【再答弁】
 ただ今、話がありましたことについては、より職場に近い声と受け止めておりますので、そういった課題がより速やかに解消できるようき続き取り組みを進めてまいります。
【最後に】
 市職労の議案書に何度も同じ要求が出ています。
 団体交渉でもやり取りをしているはずなので、是非、若者に選ばれる職場作りを、市役所からはじめていくよう提言をして質問を終わります。

●「こども家庭庁との関連」について

【質問①】
 「行政事務の集約」についてです。
 令和5年3月定例会で、こども家庭庁の新設に対応して「本市行政の機構改変や課体制又は役割の変更などがあるか」と質問したところ、健康福祉部長から「子育て家庭を取り巻く諸課題に的確に対応していくためにも、また、さらなる施策の充実も含め、国の新たな組織体制に沿った本市の組織体制の見直しが必要と考えている」との答弁がありました。
 現在、2年が経過し、他の自治体では、こども家庭庁に対応する機構改革などを行っていますが、市の行政事務の集約や体制、業務量の変化はどのようになっているか教えてください
【答弁①】
 令和5年4月に設置されたこども家庭庁は、こどもにとって、何が大切かをこどもの目線に立ち政策を推進することを目的に設置され、企画立案・総合調整部門のほか、妊娠出産の支援・保育所等を担当する成育部門、虐待防止・貧困・ひとり親家庭などを担当する支援部門の3部門で構成されています。
 これを受け、本市におきましては、こどもにかかる相談支援機能を一体化するため、職員の増員をしながら、令和6年4月に子育て推進課の課内室として、こども家庭センターを設置し、母子手帳の交付や妊産婦相談などの母子保健業務の一部を健康課からこども家庭センターへ移管集約し、妊娠期から子育て期にわたる一体的な相談体制を整備いたしました。
 今後もこどもを取り巻く行政事務につきまして、複数の課等で窓口が分散している業務の集約など、市民サービスの向上となる組織体制を検討してまいります。
 こども家庭庁の行政事務は関係法令に基づきまして、教育・福祉・保健・医療・雇用など、多岐に渡っており、本市では全ての業務をひとつの部署に集約するのではなく、複数の部署が連携して対応しているため、現在の関連する業務との整合性を取りながら、必要に応じ組織体制を見直してまいります。
 また、業務量につきましては、こども家庭庁におきまして、こども基本法をはじめ、児童福祉・障害・母子保健等の関係法令に基づく、妊婦への伴走型支援やヤングケアラー支援などの新たな施策が示されており、また、本市においてもこども真ん中社会の実現に向けた独自の施策としまして、こどもの遊場整備等を推進していることからこども施策に関わる業務が増えている部分もございます。
 一方、保育園の入所申込時の面接の廃止や入所判定にAIを導入するなど業務削減に務めているところであり、業務見直しを図りながら的確に業務を遂行できる体制を確保しております
【質問②】
 「5歳時検診」についてです。
 昨年9月定例会で、子どもの健診状況について「乳幼児健診を4ヶ月、1歳6ヶ月、3歳時に実施している」との答弁がありました。
 この度、国から新たに「5歳児健診を2028年度までに全国での100%実施を目指す」という方針が打ち出され、今後、新たな体制整備が必要であると思われます。
 特に、医師、保健師、心理士、言語聴覚士、作業療法士など、発達支援に関わる専門職の確保・配置体制の整備が喫緊の課題と認識しますが、5歳児健診に向けた体制整備について、どのように取り組んでいくのか教えてください
【答弁②】
 一般的には5歳頃は言語の理解能力や社会性が高まり、個々の発達の特性が認知されやすい時期とされており、5歳児健診は、その後の学校生活等に円滑に対応できるよう発達障害等を早期に発見し、支援につなげることを目的としております。
 そのため、5歳児健診後には必要に応じて、保健・福祉・教育等の関係機関が連携し、こどもの特性に合わせた適切な支援を行うことが重要であるという風に認識しております。
 本市におきましては、2028年度までに全ての自治体が5歳児健診を行える体制構築を推進するというこども家庭庁の方針を踏まえまして、昨年度より、健康課・学校教育課・こども家庭センターの庁内各部署や鶴岡地区医師会の小児科医師等と5歳児健診の実施体制とともに、健診後のフォローアップ体制についても検討を進めております。
 5歳児健診の導入にあたりましては、市内に小児科医が少なく、健診医の確保が困難であることに加えまして、公認心理士など、心理相談や発達検査等、相談支援に従事する心理職の確保が課題と考えております。
 そのため県に対し、広域的に医師や心理職を派遣することができないか働きかけているところです。
 また、今年度5歳児健診後の相談支援を想定した発達のフォローアップ相談会を新たに立ち上げており、5歳児健診の実施検討とともに受診後のフォロー体制整備に取り組んでおります。
 本市におきましてもできるだけ早期に5歳児健診を実施できるよう鶴岡地区医師会や各庁内各部署と連携を図ってまいります。
【質問③】
 「障害児支援事業」についてです。
 令和7年度のこども家庭庁における障害児支援関係に関する制度と予算が示され、市が重点的に取り組んでいる「継続した家庭訪問や相談支援」「子ども医療療育センター庄内支所との連携」「療育訓練等の強化」以外の事業も示されていますが、市の障害児支援強化と方向性について、どの様に考えているのか教えてください
【答弁③】
 本市では、令和6年3月に策定しました第3次障害者保健福祉計画に基づいて、障害児とそのご家族への相談支援体制の充実や早期に療育につなげる体制の充実などの取り組みを進めています。
 なかでも、医療的ケア児者とその家族への支援については、今後さらに取り組みを強化する必要があると考えております。
 障害児支援の方向性としましては、障害者保健福祉計画に掲ける療育の充実や発達障害者等への支援の拡充、家族への支援等にかかる取り組みを継続するとともに、昨年度に事業化した医療的ケア児者への看護師派遣事業や入浴支援事業の利用促進を図り、医療的ケア児者とご家族へ支援が届くよう取り組み強化してまいりたいと考えております。
【質問④】
 「児童発達支援センターの設置」についてです。
 令和6年9月定例会で「障害のある子どもの成長に合わせた支援はどうするのか」と質問したところ、健康福祉部長から「市では市立あおば学園とこども家庭センターが連携し、児童発達支援センターの機能を担っており、円滑な情報の共有や一体的にサービスの提供が図られるよう1つの施設に機能を集約したセンターの設置を目指す」との答弁がありました。
 児童発達事業の中心的な役割を果たす児童発達支援センターの設置と併せて、関係機関との連携体制の構築が必要になると思いますが、どの様に考えているのか教えてください
【答弁④】
 本市では機能を集約した中核拠点型の児童発達支援センターの設置を目指しており、第3次障害児福祉計画では令和8年度末までに設置することを目標に掲げております。これに向けて、今後、運営体制や専門人材の確保など、具体的な部分の検討を進めてまいりたいと考えております。
 合わせて医療機関や保育所、認定こども園、学校障害福祉サービス事業所等の各機関がそれぞれの専門を生かし、連携した総合的な支援体制を構築していくことが重要であると考えております。
【再質問】
 文科省が発表した令和5年度の小学1年生の不登校児童数は、9,154人で、令和4年度と比較すると1.37倍に増えているとしています。
 不登校にはさまざまな原因が考えられますが「落ち着いて授業が受けられない」「先生の指示が聞けない」「集団行動が苦手」「友だちとの関係がうまくいかない」「勉強についていけない」などが、登校を渋るケースの要因になっていると報告しています。
 この様なケースを防ぐためにも、5歳児健診は有効な取り組みであり、一部のこどもを対象にした事業ではなく、全てのこどもの成育に関わる政策として、早急に取り組む必要があると義務化にむけての方針が示されています。
 3年後に実施するという考え方で、取り組んでいくようですが、3年の間に受けられたはずの5歳児が取り残されるということになると思います。
 全国の自治体では来年度から実施しようという動きが加速化しています。
 議会で、こどもの遊びを巡って、こどもの成長は早いとの意見が出されていますが、3年後の5歳児健診の実施では遅いと思いますがどの様に考えているのか教えてください。
【再答弁】
 できるだけ早期に実施できるように鶴岡地区医師会や関係部署と調整を図っていきたいと考えています。
【最後に】
 全てのこどもが対象であり、早く実現する課題であることを提言して質問を終わります。