2023年12月定例会・一般質問(市民のための医療提供体制)

●「市民のための医療提供体制」について

【質問①】
 南庄内の地域医療において、荘内病院が急性期医療を担い、鶴岡協立病院と庄内余目病院が回復期治療を担う、地域包括ケアパス連携協定を締結していますが、各病院の役割分担をどのように位置付けていくのか。
【答弁①】
 荘内病院は今年5月に鶴岡協立病院・庄内余目病院と連携協定(地域包括ケアパス)を結び、医療連携により患者の治療状況や今後の治療方針などを情報共有し、円滑な療養環境を構築しています。
 現在、誤嚥性を含む肺炎の治療の取り組みを進めているところであり、今後は尿路感染症などに取り組む準備を進めています。
 鶴岡協立病院・庄内余目病院は地域包括ケア病棟を有しており、症状は安定しているものの引き続き療養が必要な状態である回復期の患者等の治療を担っていただいています。
 包括ケアパスの取り組みをはじめ、それぞれの病院の特徴・強みを生かして、急性期・回復期を担当し、連携を図っていきます。
【質問②】
 日常的な診療は地域の開業医(かかりつけ医)が行い、専門的な検査や入院が必要な治療は荘内病院が行うという形態になっていますが、南庄内における医療機関全体の連携はどのように考えているのか。
【答弁②】
 荘内病院の役割は南庄内地域の基幹病院として、救急告示医療機関災害拠点病院・地域周産期母子医療センターなどの指定を受け、主に発症負傷直後の急性期の診療治療を担当しています。
 今後も民間医療機関による提供が困難な医療や癌治療などの高度医療について、その役割を積極的に担い地域の医療機関等との連携強化を進め、地域完結型医療の確立と充実を目指していきます。
 荘内病院は地域医療支援病院の認定を受けており、地域の医療機関(開業医)との連携強化・機能分担に努め、荘内病院の医療機器の共同利用など、地域の医療資源を効果的・効率的に活用していきます。
【質問③】
 体調が悪くて不安を抱えている市民が、電話で確認してから休日夜間診療所に向かうことになりますが、受診前に電話連絡は必要なのか。
【答弁③】
 国の新型コロナ感染症の院内感染防止対策に、発熱等の症状がある場合は医療機関に電話連絡してから受診するとあり、5類移行後もその対応は継続しています。
 本市の休日夜間診療所においても同様の対応をしています。
【質問④】
 休日夜間診療所と荘内病院の役割分担はどのようになっているのか。
【答弁④】
 休日夜間診療所は日曜日や年末年始などに開設し、開業医の皆さんの協力により、自院が休みの医師当番制で診察に当たっていただいています。
 役割としては、外来による初期診療を行い、後日かかりつけ医につないだりし、重症度・緊急度が高い場合は、必要に応じて専門的診療・入院治療の役割を担う荘内病院に紹介するという流れになっています。
【質問⑤】
 子どもの病気や怪我など、休日夜間診療所で1度は診察を受けたものの、保護者の不安が解消されない、再診するまで不安を募らせている保護者が健康相談できる窓口の開設などの検討はしているのか。
【答弁⑤】
 県救急電話が開設されており、小児救急電話相談(023-633-0299)、大人の救急電話相談(023-633-0799)ともに毎日夕方6時から翌朝8時まで利用が可能となっています。
 小児救急電話相談は保護者の安心のために、子どもの発熱・嘔吐など急な病気について、専門的な知識と経験を有する看護師が医療機関への受診や家庭での対処方法について、アドバイスをしています。
 県救急電話の活用を本市のホームページで、紹介していますが、様々な機会を捉えて、市民への周知に努めていきます。
【質問⑥】
 荘内病院の医療体制を整えるためには、スタッフの確保が必須と考えます。
 医師不足が課題となっており、看護師も離職と採用のバランスが取れていないなど、人員体制が不十分なため、過重労働と時間外勤務が多くなっていると聞きますが、実態をどのように認識しているのか。また、医師・看護師が不足している状況を解消することが可能なのか。
【答弁⑥】
 人口減少が進展する中で、荘内病院の人材確保はより大きな問題であると認識をしています。
 安全安心な医療が提供できるようにするため医師の確保は喫緊の課題であり、事業管理者の人脈を生かした全国の大学の医局訪問を始め、人材紹介会社の活用や当院独自の修学資金対応制度などに取り組んでおり、様々な方面から医師確保について、働きかけを行っているところです。
 看護師の確保についても、来年度は採用試験の前倒しを予定しているほか、複数回の試験を行い、受験機会を多くすることで人材確保につなげたいと考えています。
 令和7年度から荘内看護専門学校の1学年の定員を10名増の30名とし、推薦枠を大幅に増やし、地域の医療人材の育成を図ることとしています。
 看護師の負担軽減を図る観点ではデジタル技術を活用した業務の効率化や人材派遣会社を活用した看護助手の採用なども検討しており、職員が働きやすい環境作りに努めていきます。
【質問⑦】
 毎年の患者治療費未収金を回収するため、法律事務所に委託をしていますが、早期回収が見込めるのか。
【答弁⑦】
 荘内病院の患者治療費の回収対策は、電話や郵送により最低でも2度督促を行い、支払われない場合には、対象者に事前通告した上で、法律事務所に回収業務を委託しています。
 平成28年9月から法律事務所に委託を行い令和5年10月までの回収実績は約8,845万円と総回収金額の約6割を占めています。
 尚、法律事務所に回収を委託することを事前通告することで、支払っていただけるケースもあります。
【質問⑧】
 未収金の発生防止対策はどのようになっているのか。
【答弁⑧】
 診察受付時での保険証確認の徹底や入院誓約書への連帯保障人の記載依頼、医療費支払いのクレジットカード決済対応を行っています。
 支払いが困難な方へは分割納付の相談対応なども行っており、未収金の抑制に努めています。
【質問⑨】
 2003年に移転新築した荘内病院は、建設後20年が経過しています。
 鶴岡市公共施設等総合管理計画では、設備保全長期計画(機器の更新、改修計画)を策定し、計画的な保守管理をしていくとの記載がありますが、どのようになっているのか。
【答弁⑨】
 今後の修繕や設備更新は大きな課題であると認識しています。
 当院では設備保全長期計画を策定し、その計画に基づき修繕や設備更新を行っています。
 この計画では直近までの点検整備結果や故障履歴、施設整備方針を踏まえ可能な限り施設の長寿命化を図るとともに、整備費等の平準化を図り安定した経営に努めているところです。
【最後に】
 第2次鶴岡市総合計画で「急性期、回復期及び慢性期まで切れ目のない医療を提供するため、医療機関の機能分担を進めます」「また、ICTを活用した患者情報などの共有を促進し、地域医療連携の推進、地域完結型医療の確立をめざします」と医療提供体制の充実を掲げています。
 市長の公約でも医療体制の充実が重要な課題として記載されていますので、市長が責任をもって医師・看護師の確保を行い、開業医との連携とICТの活用などの強化をお願いしたい。
 市民のための医療提供体制は最も重要な取り組みであり、早急に計画を進めていただき、令和6年度から令和9年度までの4カ年にわたる荘内病院の経営強化プランが、具体的に実施できる内容になることを期待しています。