2024年3月定例会・一般質問(学校給食の運営、新年度予算と職員体制)

●「学校給食の運営」について

【質問①】
 本市の学校給食は、市職員が学校給食発祥の地として「子どもたちに喜ばれる学校給食づくり」に邁進してきたからこそ、細菌やウイルスなどによる集団食中毒もなく、地産地消のはじまりである米飯給食の導入、おにぎり給食、バイキング給食、ハサップ作業の導入などが進められてきました。
 全国に先駆けて導入したドライ方式による調理場も、市職員の研究によるもので「直営による運営」だからこそ実現できた施設です。
 市職員が積み重ねてきた取り組みは金額で表せないものであり、自治体の政策に最も重要な取り組みと考えますが、この様な歴史的経過について、どの様に認識しているのか。
【答弁①】
 これまで従事してきた職員の取り組みについては、現在の鶴岡センターにおいて、調理機器の更新や安全衛生基準の厳格化等において、日々総意工夫を重ね、的確な対応を取ってきており、子どもたちが喜ぶ給食となるようアイデアを出し合い、新たな取り組みを行ってきたことにより、安全安心でおいしい給食が提供できていると認識しています。
【質問②】
 学校給食の民間委託を実施している多くの自治体は「民間活力による運営」を掲げていますが、実態は経費削減が目的になっているのが実情です。
 現在、PFI事業により、学校給食センターの運営を行っている自治体の状況を見ると、献立作成、食材調達は直営で実施し、施設管理、調理洗浄、事務管理の運営は新設された特別目的会社に委託しているようです。
 以下、特別目的会社の運営状況ですが。
 建物の運営は、長期にわたる契約のため、自治体が状況を把握する機会が少なくなるなどの問題があり、施設の修繕等は自治体の負担となっているため、実質経費の削減になっていないとの指摘があるようです。
 調理設備の運営は、調理器メーカー1社随契による委託と変わらず、実質経費の削減につながらないだけでなく、修理や改善も長年にわたり1社が請け負うため問題があるようです。
 調理部門の運営は、調理を専門としている企業が担当していますが、一部の調理員は資格をもっているものの、求人募集の状況を見ると資格不要で募集をしているようです。
 調理員の賃金は、アルバイト・パートの場合、時給900円から1100円で、山形県の最低賃金が900円なので労働基準法に抵触していませんが、自治体が低賃金労働者を生み出していることになります。
 正規職員の場合、月額16万円から26万円、時給にすると約1000円から1630円となり、生活向上に結び付かないことから、生涯の職場としては考えられていないようです。
 教育委員会は新学校給食センターの運営について、PFI事業の導入を検討していくとしていますが、どの様な効果を期待しているのか。
【答弁②】
 PFI導入によるメリットは、一般的に財政負担の軽減・平準化が上げられます。
 設計・建設・維持管理運営を一括で発注することにより、公共事業の従来の手法と比べて、総事業費の削減が期待できること、また、整備費や運営期間中の修繕費を民間側が資金調達して建て替えることで、公共側の財政負担の平準化を図ることが可能となること、民間の事業機会が広がり、地域経済の活性化などが挙げられます。
【質問③】
 昨年8月に、全国の学校や保育園をはじめ、幅広い施設で給食・食堂事業を運営していた企業が、債務超過に陥り自己破産を申請し、全国150の施設で給食の提供が停止する事態が生じました。
 受託費から管理費と人件費を差し引いたものが利益となるわけですが、飲食業界で働く者の賃金も上昇基調にあり、高い賃金を設定しなければ人手を確保できず、結果として経営を圧迫する要因になっています。
 原材料や電気料金も値上がりしており、企業が学校や行政に値上げを要求しても拒否される。労力に見合わない額しか値上げできないため、赤字での事業継続を余儀なくされるなど、業界全体で委託料の引き上げが課題となっています。
 最初は委託額を抑えて契約できたとしても、企業も利益がなければ経営が続けられないため、市場の法則として契約金額の引き上げを図ることになり、長期的にみると自治体の実質経費の削減にならないことが想定されます。
 今後、労働力不足が想定される中で、調理技術の継承を図ることが重要であり、また、安定して安心安全な学校給食を提供するためにも直営による運営が望ましいと考えますが、教育委員会としてどの様に考えているのか。
【答弁③】
 直営の長所の主なものとしては、長期雇用となるため業務経験が蓄積・共有されていくこと、同じ組織内のセンター所長や栄養教諭等の業務上の指示などが個々の職員に直接行えることなどが挙げられます。
 民間委託の長所は、調理・管理・配送などの専門人材の配置、日々の業務内容・業務料に応じた柔軟な体制などの取り組みにおいて、経営資源を共有することで、経費削減につながるものと考えています。
 民間委託の短所は、受託者側の事情により業務が中断する可能性があることと、受委託関係の中で職員への業務指示の管理が複雑になることなどが考えられます。
 なお文部科学省の通知では地域の実情に応じて、民間委託等により経常経費の適正化を図ることが必要であるということが示されており、現に全国の学校給食施設の半数以上で調理部門を民間委託しているという状況にあります。
 本市でも鶴岡センター以外の藤島・櫛引・朝日・温海センターでは調理・配送などの業務を委託しておりますが、こうした中でも郷土食の提供なども行われている状況です。
【質問④】
 本市では、令和7年度から市内全中学校ブロックで「鶴岡型小中一貫教育」を進めるため、計画づくりや教員の研修会などを行い、準備を進めています。藤島地域では藤島中学校の老朽化と小学校の統合を含めた小中一貫教育による校舎の建設について、地域への説明会が繰り返し行われています。
 学校給食の調理場の併設は検討されなかったのでしょうか。
 藤島産野菜使用率の向上に取り組みながら、すばらしい食材がたくさんあることを伝え、その味を地域の誇りだと思ってもらえる取り組みを、身近に感じてもらえる機会になると考えます。
 大量調理施設衛生管理マニュアルにある喫食2時間以内を考えれると、藤島小中一貫校に学校給食の調理場を併設し、羽黒小中学校や朝暘第五小学校、鶴岡第二中学校に配送すれば、新学校給食センターの負担も軽減することが可能だと考えますが、教育委員会としてこの様なことは検討していないのか。
【答弁④】
 昨年10月に藤島地域教育振興会議から「藤島中学校の改築に早期に取り組むこと小学校・中学校一体型の小中一貫校の整備を基本に検討すること」などが提言としていただいたところです。
 これから十分に協議いただき、理解と合意の形成が図られた際に、小中一環校の設置が決定するものとなります。令和6年度は藤島中学の改築につきまして、国の補助採択に向けた必要な調査を行うこととしています。藤島中学校の改築において、どの様な施設整備を行うかについては、今後の検討事項となります。
 現在、藤島のふれあい食センターが築21年を経過しておりますが、他センターとの統合をどうしていくかは現在検討進めているところで、提案につきましては意見として受けたいと思います。
 整備基本構想の基本目標として掲げている食文化の継承・児童生徒の笑顔溢れる安心安全な学校給食の提供に向けて、基本計画の策定、事業手法の検討など新学校給食センター整備に向けた作業を進めていきたい。

●「新年度予算と職員体制」について

【質問】
 新年度予算の重点事業における新規・レベルアップ事業が105事業あり、予算額が36億円を超えるなど、業務量が増える部署の職員体制を見直す必要があると思いますが、どの様に考えているのか教えてください。
【答弁】
 各部署の業務量については、令和6年度の新規レベルアップ事業による増加を含め、地方公共団体が取り組む行政課題や行政ニーズの複雑化、多様化に対応するための業務など、全体として増加傾向にあると認識しています。
 国全体と同様に本市においても年少人口生産年齢人口が減少し続ける厳しい状況の中、時代の要請や社会の動きに呼応した行政サービスをいかに提供できるかが問われています。
 令和6年度は、今後の行政運営の指針となる第2次総合計画後期基本計画の初年度として、本市が直面する政策課題に対する取り組みを新年度予算に反映させているところであります。
 それを着実に進めるためにも事務事業の見直しによる事務量の圧縮や事務効率の向上のほか、職員の健康維持やワークライフバランスといった働き方改革の推進をはじめ、行財政改革大綱実施計画を着実に進めていく必要があると考えています。
 限られた人員の中で最大の効果を発揮するためにも職員の資質向上はもより、課題の緊急性や重要度に応じた適正な体制を構築していく必要があると認識しています。
 引き続き住民サービスの充実に向けた組織機構の検討と業務量・業務内容に配慮した適切な人員配置に努めていきます。
【質問】
 ここ数年、職員の雇用形態や勤務体制が複雑になり、業務量と職員体制のバランスが取れていない、人手不足から思うように事業が進まない、どの様に対応したら良いか心配だと、悩んでいる職員が見受けられ、体調を崩している職員もいるようです。
 市は職場体制の問題点や課題などについて、どの様に把握しているのか教えてください。
【答弁】
 職場の状況については各所属長が業務管理や職員からの相談などを通して、所属内の状況を把握するとともに、職員課では管理職を対象とした組織機構や職員配置等の聞き取りを行っており、職場が抱える課題のほか年間を通じた業務量や業務内容、職員の勤務状況と実態の把握に努めています。
 あわせて個々の職員からは職務状況や意見等の自己申告を随時受け付けており、それらの内容を参考として、次年度の組織体制や人員配置に生かしています。
 また、職員の体や心の相談については、職員課で個別相談を随時受け付けているほか、毎年実施しておりますストレスチェックにおける高ストレス者の産業医との面談など、直接職員課が相談できる体制を整えており、引き続き職員の健康維持に配慮していきます。