2022年1月百条委員会(市長)
●皆川治市長の選挙問題に関する百条委員会設置(議員全員協議会から臨時会)
2017年10月に行われた市長選挙の際、皆川治氏(現市長)が選挙期間中に、当時支援者から現金100万円の寄付を受けたことを、市選挙管理委員会に提出した選挙運動費用収支報告書に記載していなかったことが、12月22日の新聞等で報道されました。
報道の内容を確認するため、市議会は2度の議員全員協議会を開催し、皆川市長に経緯の説明を求めました。
【令和3年12月27日の議員全員協議会】市長説明の抜粋
(1)2017年10月9日(鶴岡市長選挙の告示の翌日)、当時支持者であった男性から100万円の寄付を受け、選挙運動費用収支報告書に寄付と記載するべきところ、知識不足と忙しさの中でこれを失念し、誤った記載となった。
(2)受領した寄付については、「自己資金」の立て替えとして会計責任者へ渡し、選挙運動資金に充てられた。
2021年8月28日、当該寄付について当該男性に選挙運動費用収支の余剰金として返金できるものと考え、寄付と同額を当該男性宅に置いてきた。(余剰金の使途については公職選挙法に規定がない。)
寄付が収支報告書に記載されていないことへの非難を回避したいとの思いから、当該男性の理解の下に返金すれば、寄付を受領しなかったことにできるのではないかと考えた。当該男性がハチ公像と斎藤弘吉氏像を文化会館前の広場に設置することを強く要望しており、公正な市政を維持するために返金し、今後の影響をなくしたいとも考えた。
(3)2021年12月23日、当該男性からの寄付を選挙運動費用収支報告書に記載する訂正を市選挙管理委員会に提出した。さらに訂正が必要な場合には、専門家に相談して必要な対応を行いたい。
(4)2021年8月28日、当該寄付について当該男性に返金できるものと考え、当該男性の自宅に置いてきた行為は、公職選挙法で禁止された政治家からの寄付に該当するおそれがあるとの指摘があるが、余剰金の使途については公職選挙法に規定がない。また、当該男性も寄付と受け止めているとは考えられないことから、その取扱いについては、必要な確認、協議を行いたい。
【令和4年1月18日の議員全員協議会】市長説明の抜粋
(1)2017年10月9日(鶴岡市長選挙の告示の翌日)、当時支持者であった男性から100万円の寄付を受け、選挙運動費用収支報告書に寄付と記載するべきところ、知識不足と忙しさの中でこれを失念し、誤った記載となった。これについては、12月23日に訂正を行った。
(2)収支報告書の記載内容について、専門家に相談しつつ確認したところ、収入と支出(公費負担分を除く)が同額になるように収入が計上されていたことが分かり、自己資金の金額と日付の訂正を2022年1月17日に行った。
【議員全員協議会から臨時会】皆川市長100万円授受問題で百条委員会設置
議員全員協議会で、「当該男性から100万円の寄附を受けた際の状況」「返金した際の状況」「100万円の使途」「当該男性、会計責任者とのやりとり」「返金した100万円の意図」「説明が1転2転している」など、議員からの質問が行われた。
市長は、「選挙期間中のことで受け取ったこと以外のやりとりは記憶にない」「返金した際、当該男性に理解をしていただけなかった」「100万円を返金することで、寄付を受領しなかったことにしたかった」「専門家と相談して収支を確認して訂正を行った」などの回答にとどまった。
市議会は臨時議会を開催し、皆川市長の100万円授受問題で百条委員会を設置しました。
【令和4年1月25日、臨時議会の結果】
臨時議会では、新政クラブ・鶴岡市議会公明党・無所属の計3人が「地方自治法第100条第1項の規定により、特別委員会を設置して調査を行う必要がある」という議案を提出し、賛成・反対の議論を行い、採決の結果、賛成多数で可決されました。
賛成議員 新政クラブ11人・鶴岡市議会公明党3人・無所属2人 計16人
反対議員 市民フォーラム2人、SDGs鶴ヶ岡2人、市民の声・鶴岡2人、無所属1人、
日本共産党鶴岡市議団4人 計11人
●百条委員会設置に市民フォーラムが反対した理由
市民フォーラムは市長が返金した100万円について問題があると考えるが、百条委員会で解決する問題ではないと判断し、以下の観点から設置に反対の意思を表示しました。
最終的に百条委員会が設置されたことは不本意ですが、問題を解決していくことに反対している訳ではないことから、石井代表を百条委員会に委員として送り出しました。
(1)選挙運動費用収支報告書の記載漏れは訂正したことにより問題はなくなった。問題があるとすれば認識不足による市民に正しい報告をしていなかったことである。
① 選挙期間中に受け取った1万円以上の寄付は、選挙運動費用収支報告書に記載すれば問題がないとなっている。
② 選挙運動費用収支報告書は間違いがあった場合、訂正することが可能であり、そのまま放置しておくことの方が「市民に対し正しい収支の状況を明らかにする観点」から問題である。
同時に行われた鶴岡市議会議員選挙においても、選挙運動と後援会運動の収支報告書に間違いがあり、訂正した市議会議員が数名いたことも事実で、その責任は問われていない。
③ 選挙運動費用収支報告書の保存期間は官報または公報による要旨の公表の日から3年を経過する日までとなっており、その間の訂正は可能であり、保存期間経過後も、告示の訂正は可能、期限も特に定められていない。(政党交付金使途等報告書は5年間)
(2)当該男性に返した100万円は問題であり「返金なのか」「寄付なのか」によって異なるが、市議会が関わる問題なのか疑問である。
① 返金であれば、選挙運動費用収支報告書を訂正することで問題はない。
② 寄付であれば、公職選挙法違反で、犯罪として罰金・禁錮・懲役などの刑が課せられること(関係者や有権者)になり、検察官や都道府県公安委員会の所管事項管轄になること。
(3)百条委員会の設置については、市長の寄付授受が当該普通地方公共団体の事務に当てはまるのか疑問である。
● 地方自治法第100条第1項の規定は「当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行 うことができる」としており、市長の寄付授受は公共団体の事務に当てはまるか疑問であること。
(4)市長の寄付授受問題とハラスメント問題を一緒に提案しているが、別々の解決をはかることが望ましいと考える。
① 市長の寄付授受問題は前既述のとおり。
② ハラスメントは労働委員会(市役所にハラスメント処理委員会設置あり)の課題であり、百条委員会の調査対象に当てはまらないこと。