2024年9月定例会・総括質問(災害対策、東北公益文科大学の公立化)

●「水路や河川設備の改修」について

【質問①】
 令和12年度の完成を目指して、鶴岡中央工業団地の雨水対策工事が行われていますが、7月の大雨で膝までの水位になったことから、可能な限り工期を早めて欲しいと、多くの市民から求められています。
 また、排水対策が十分でなかった地域では、水路の勾配や流積、河川設備の構造を見直すことで、浸水災害を減らすことが可能な地域もあり、改善が求められています。
 市街地の水路や樋門などの河川設備の改修について、市民の安全を守るためにも、取り組みの加速化を図るべきと考えますが。
【答弁①】
 鶴岡中央工業団地の対策工事は、日和田排水区・茅原第一排水区・道形第一排水区の3排水区を改修することにより、工業団地全体の浸水防止対策とするものであり、令和2年度に現地着手し、令和12年度の完成を計画しています。
 令和6年度内に整備完了を予定している日和田排水区は、既設の幅1.5m×深さ1.0mの雨水排水路を幅5.0mに拡幅し、鶴岡駅北側に集まる雨水を短時間でより多く青龍寺川に排水する対策工事となっています。
 令和4年5月に青龍寺川に排水する樋門を新設した後、現在は工業団地の南西にあるJR線路沿いの水路改修に着手しています。
 中央工業団地における雨水対策を加速化させるにあたっては、上下水道やガス管の移設等の課題がありますが、可能な限り工期が短縮されるよう務めていきます。
 また、市街地の水路や樋門などの河川設備の改修による浸水防止対策については、広域的な幹線水路網の調査に基づく浸水原因の特定や最終的に流れ込む河川との協議など、対応すべき課題は多いところですが、今後、既設排水の能力を評価し、排水能力の低い原因箇所の改良を進め、浸水被害の解消を図っていきます。
【質問②】
 河川の整備と良好な維持管理、加えて市道、農林道などを適切に管理することが災害を未然に防ぐことに繋がると考えます。
 人口減少や高齢化のもと、市民参加による河川等の維持管理は、今後、困難な状況になってくることが想定されます。
 農林道の維持管理も同様であり、市道の管理を含めて新たな制度を考えていく必要があるのではないでしょうか。
 河川・市道・農林道の維持管理対策として、公共施設の維持管理を専門とする技能職員を配置することは、市民のニーズに応える施策としても、極めて有効な機構改革だと考えますが。
【答弁②】
 土木課に配置されていた大山土木分室は、行財政運営の効率化や市民サービス向上を目指すため、平成22年度に組織改変し、道路維持業務について、市直営から民間へ切り替え廃止をしています。
 道路の維持管理は草刈や陥没補修などの通行の支障となる事案に民間の持つ技術や専門性により迅速な対応が行われているところです。
 また、災害等の緊急を要する場合は施設所管課の職員のみならず、災害対策本部等を組織し、本庁舎・各地域庁舎が一体となり対応するようにしています。
 議員から提案がありました河川・市道・農林道の維持管理対策として、技能職員を配置し、直営で維持管理を行う組織改革については、過去に一旦廃止された組織改編の経過も踏まえつつ、必要性と市民サービスへの影響を勘案しながら検討すべきと考えています。
【質問③】
 中山間地域では世帯数の減少や少子高齢化が進み、耕作放棄地の増加や、側溝の泥あげや草刈りなど適正な維持管理を行うことが困難な状況にあり、これまでの大雨で、農地・農業用施設・林道などの大きな被害に繋がっています。
 特に山間部では、水路や農道など管理する施設の延長が長く急峻であり、従前から維持管理が困難であるとの声があり、地域内の農地保全と共に、農業用施設林道の維持管理は、災害を未然に防止するとともに、地域での生活基盤、定住環境を維持していくうえで重要な課題であると考えています。
 中山間地域や小規模集落といった、自立した組織運営が難しい集落への環境整備に対する支援が必要になっていますが、どのように考えているのか。
【答弁③】
 集落内の農道や水路は地元の利用者によって管理されており、多くは国の中山間地域等直接支払い交付金や多面的機能支払い交付金を活用しながら、地元が主体となり維持管理を行っています。
 集落によっては高齢化や人口減少により、農道や水路の維持管理が難しくなってきており、対策として、ある集落では中山間地域等直接支払い交付金を活用し、バックホーやトラクターの草刈り機械アタッチメントを購入し、人力作業による草刈りを機械化することにより労力の軽減を図っています。
 また、1つの集落だけでは活動の継続が難しい場合、他の集落の農用地を含めて広域の集落協定を締結することで体制強化を図り、実施をする例もあります。
 広域化については、集落協定広域化加算の対象となるなど、国としても広域化を推奨しています。集落ごとの個別の事情も異なるので、今後も地元と意見を交わしながら、水路や農道の維持管理を継続する方法について検討していきます。
【最後に】
 災害対策の2点目は、現状で十分に対応ができていない施設が多くあるという観点から提起をしました。
 廃止された経過があるとの市長から答弁がありましたが、現状に対応するため再度検討する111 ことが重要な時期に来ています。
 3点目の小規模地域の環境整備支援は、広域化や制度の活用もありますが、小規模地域からもう限界に来ているという声があり、市長として市民の声を聞く必要があるので、改めて再考するように提言したい。

●「東北公益文科大学の公立化」について

【質問】
 東北公益文科大学の公立化と機能強化にむけて、県と庄内2市3町及び同大学が8月8日に基本合意書を取り交わし、県と庄内広域行政組合が共同で設立団体となることを決めました。
 県と庄内2市3町及び同大学が基本合意するまでの経過などはどの様になっているのか。
【答弁】
 公益大の公立化については、令和元年度より庄内広域行政組合が事務局となり、県と2市3町で「東北公益文科大学公立化勉強会」を開始し、令和2年度からは庄内開発協議会の庄内地方重要事業要望として、県に対し早期の公立化を要望してきました。
 令和4年度より、県と2市3町の実務担当者レベルでの検討を開始し、令和5年3月には、県と2市3町で公立化と機能強化に関する報告書をとりまとめ、重点的に検討していく項目として「設立団体の考え方」「財政負担のあり方」「機能強化の方向性」の3つの論点を掲げています。
 以降、県と2市3町で協議を重ねており、今年度に入ってからは、県知事と2市3町の首長による検討会議を2度開催し、3つの論点のほか、国への認可手続きなどが順調に進むことを前提に、最短で令和8年4月の公立化を目途に認識の共有が図られたところです。
 公立化に向けた具体的な準備作業に取り掛かるため、8月8日に、県と2市3町及び学校法人の7者で基本合意書の取り交わしを行ったところです。
 基本合意において、公立化のための公立大学法人の設立は、県と2市3町で組織する庄内広域行政組合の2者が共同で設立団体となり、令和8年4月の開設を目途に手続きを進めることになります。
 準備組織は、県と庄内広域行政組合の構成である2市3町及び大学から組織され、10月中を目途に立上げ、公立大学法人の設立及び国への手続き及び大学の機能強化に関する準備などを進めていくことにしています。