2023年9月定例会・一般質問(鶴岡市公共施設等総合管理計画、生き物に関連する事務)

●「鶴岡市公共施設等総合管理計画」について

【質問①】
 鶴岡市公共施設等総合管理計画で、2016年度から30年間にわたる公共施設の修繕・更新等を計画的に行うことにしている。
 計画では、公共施設の修繕・更新等に必要な投資的経費は、2016年度からの40年間で総額6,800億3千万円、1年あたり約170億円になると試算している(計画策定以前の5年間の投資的経費は、1年あたり約103億6千万円で、計画実施に必要な投資的経費は1.64倍になっている)。
 試算の条件に「原則、新たな建設は行わないものと仮定する」としているので、2021年12月にオープンした「だだちゃアリーナ」から現在まで新設された建物、これから新設する施設を含めると、投資的経費は1年あたり約170億円を超えることは明らかである。
 現在、建設資材の物価高騰が続いており、⼀般財団法⼈建設物価調査会総合研究所が本年5月に公表した建設資材物価指数によれば、2015年を基準(100)とした場合、2023年7月の指数は131.7で、資材価格などが3割増しになっている。2016年に試算していた170億円の事業は、現段階で約223億9千万円になると想定される。
 引き続き計画を遂行するためには、年間の投資的経費を見直す必要がある。老朽化などにより、修繕・更新を先延ばしに出来ない施設もあるため、公共施設の維持・管理をどのように実施していくのか。
【答弁①】
 鶴岡市公共施設等に係る光熱水費や 維持・管理・点検・修繕などの必要な経費が増加しているとともに、施設の老朽化の状況も進んでいます。
 加えて、昨今の物価高騰により建築資材等の高騰している状況にあることから、入札の不調や物価スライド条項の適用等、施設の建設に影響が出てきています。
 社会状況等の変化に対応しつつ、計画の適正な進捗を図るため、計画期間である30年間を前期・中期・後期の各10年間に区分し、各期において施設類型別基本方針を策定することとしており、令和6年度から公共施設等総合管理計画の中期方針の策定着手を予定しています。
 現在の物価高騰がいつまで続くのか見通すことは難しい状況ですが、公共施設の改築修繕等の時期については、対象となる施設の老朽度や緊急性また財源確保の見通しと総合的に勘案して、優先順位を適切に判断していきます。
【質問②】
 計画の基本方針に、公共施設等の老朽化が進んでから行う「事後保全型」の修繕ではなく、老朽化の進行状況や劣化状況を定期的に把握し、問題が軽微な段階で対策を講じる「予防保全型」に取り組み、予期しない大きな不具合の発生を防止し 、修繕にかかる時間や費用、建物の老朽化を抑え、安全で快適な利用環境の維持を目指すとしている。
 例えば、朝日地域の「大鳥自然の家」は、雨漏りとともに屋根の破損が拡大していることが明らかになっているが、予算が付かない、予算がついても屋根全体の4分の1を補修する程度の予算に留まっている。
 修繕が必要だと判断した担当課の予算要求を重視し、計画の基本方針に基づいて予算を確保するべきと考えるが、既に破損が明らかになっている場合の対応はどうするのか。
【答弁②】
 施設の修繕については、老朽度・利用状況・規模と事業費を考慮しつつ、全面的な対応か部分的な対応とするか、検討が必要であります。
 予算編成にあたり、修繕費等については対象となる施設の老朽度や緊急性また財源確保の見通しなどを勘案して予算計上しています。また、すでに破損が明らかなものにつきましては計画上の記載内容にかかわらず必要に応じて修繕等を行うものと考えています。
【質問③】
 1974年(昭和49年)に山形県指定有形文化財に指定を受けた「旧遠藤家住宅(多層民家)」は、雪の重みで外観が歪みはじめ、老朽化が激しい状況で、文化財としての価値を維持するために、早急な対応が必要である。
 山形県教育委員会の指導監督により半解体復元工事を行い、地方独特の建築方式である兜造りの多層民家として維持してきた経過もあり、山形県文化推進基本計画及び山形県文化財保存活用大綱に基づき、適切な保存のため、早急に修繕を行うべきと考えるが。
【答弁③】
 旧遠藤家は、これまで県補助を受けて、2度の大掛かりな修繕を行っており、現在、市が建具の修繕あるいは毎年の屋根の差し替えなど、通常の建物の維持管理を行っています。
 県文化財保存活用計画活用大綱に基づきまして、令和4年8月に実態調査が実施されており、損傷が著しい屋根の早急な修理が必要との判定となっています。
 本市としては、この報告を受けて、出来るだけ早期の修理ができるように、県の補助採択を要望していき、引き続き必要な維持管理を行い建物の適切な保存に努めていきます。

●「生き物に関連する事務」について

【質問】
 市民が生き物に関する問題を本市に相談する際「鳥獣による被害の場合」「怪我をした鳥獣を発見した場合」「鳥獣の死体を発見した場合」「鳥獣を飼養する場合」「犬・猫など動物の愛護及び管理に関する場合」「家畜に関する場合」「自然環境に関する場合」などによって、担当する部署が異なっている。
 鳥獣による被害でも農作物被害と生活環境被害によって異なり、死亡している場合でも焼却や埋設、天然記念物によって、担当する部署が異なっており複雑である。
 農作物被害につながる猿や猪の個体数の増加、人的被害につながる市街地への熊の出没頻度の増加、カラス等の生活環境被害の拡大、風力発電でも問題なった自然環境における生態系の現状把握など、生き物に関する対応の課題が多くなっている。
 現在、各部署でこれらの課題を担当する職員は数人で、他にも多岐にわたる業務を受け持っているため、生き物に関する対応に専念することが困難な状況にあるのではないか。
 鳥獣被害対策に対応する部署に関しては、他の業務の状況が変わる度に、農山漁村振興課と農政課を行ったり来たりしているのが現状である。
 生き物に関する課題に専念する新たな部署を設置することで、市民からの相談解決に向けて、迅速な対応と横断的・統一的な対応ができると考えるが。
【答弁】
 本市における生き物に関する業務については、生き物の種類や相談の内容により、担当する課が異なっています。
 農作物被害に関するもの、生活環境被害に関するもの、国・県指定文化財とされている動物、愛護動物、小動物の死骸の収容など、それぞれ担当部署が異なっている状況です。
 生き物については、習性や時期により流動的かつ緊急的な事案が多く、生き物に関する対応が必要になった際の根拠法令や所管官庁が異なり、当事者や関係者も事案によって多様であるといった実態があります。
 専属の職員を配置するには、相当のスキルを要するとともに、年間業務量の観点からも非効率と思われる面もあり、生き物に専念する新たな部署の設置については、慎重に判断していきたいと考えています。
 猫に関する事案のような、本市だけで解決が難しい課題については、市関係課や関係団体と情報を共有し、連携して対応していきます。また、先進地事例の情報収集や専門家からのご指摘もいただきながら、より有効な解決方法を模索していきます。