2024年3月定例会・総括質問(市全体のまちづくり、新年度予算と財政見通し)
●「市全体のまちづくり」について
【質問①】
市議会議員で構成する人口減少・地域活性化対策特別委員会が、市長に対して「中心商店街の活性化への提言」を行いました。
概要は、中心商店街全体の中長期的なトータルデザインを早急に作成することを訴え「商店街に人の暮らしを結びつけること」「市民が集う拠点施設づくりを行うこと」「食文化と観光を盛り上げる施設を設置すること」「内川沿いの景観を活かすまちづくりを行うこと」などを盛り込んだ提言です。
3月定例会の市長説明において、第2次鶴岡市総合計画における、賑わいのある中心市街地の形成を図ることを目的に、第3期中心市街地活性化基本計画を策定するとの説明がありましたが、人口減少・地域活性化対策特別委員会の提言について、どの様に考えているのか。
【答弁①】
提言の内容は中心市街地将来ビジョン策定の過程で、市民ワークショップをはじめ、多くの方から同様の意見をいただいており、大変重要な項目であると考えています。
将来ビジョン策定にあたり、提言の内容を含めた形で整理を進めており、来年度策定予定の第3期中心市街地活性化基本計画において、提言の内容を踏まえた事業案の具体化を図っていきたいと思います。
【質問②】
市民からは「中心市街地区域に住んでいるが、基本計画等の具体的な説明も無かったし、活性化されたという成果が見当たらない」という声が聴かれます。
第2期中心市街地活性化基本計画を策定した際、市民にどの様に周知してきたのか、また、結果をどの様に報告したのか。
【答弁②】
平成29年度に第2期計画を策定した際の市民周知につきましては、パブリックコメントの実施や市ホームページの掲載といった形で行いましたが、市民周知の方法につきましては、改善の余地があると考えており、第3期計画策定においては、より市民の皆様へ伝わるよう取り組んでいきます。
第2期計画の結果については、令和4年度に市民意識調査を実施し、その回答を反映した最終評価を行いましたが、山形県沖地震や新型コロナウイルス感染症により、十分な対応がはかられなかったと捉えています。
第2期計画の最終評価については、将来ビジョン策定の過程で、市民ワークショップの参加者にも説明した上で「ありたい町」の将来の姿について、ご意見をいただいています。
【質問③】
中心市街地活性化基本計画で中心市街地と設定されている区域は「歴史的風致維持向上計画においては重点区域」「立地適正化計画においては都市機能誘導区域」「シビックコア地区整備計画においてはシビックコア地区」「鶴岡市緑の基本計画においては緑化重点地区」に設定されているなど、同じ区域で様々な計画や取り組みが進行しています。
イベント時の一過性の賑わいはあるものの、空き家、空き店舗が増えるばかりで、具体的な成果が見えないのが現状ではないでしょうか。
第3期中心市街地活性化基本計画は実効性のあるものにする必要があると思いますが、どの様に考えているのか。
【答弁③】
将来ビジョンの実現のため、現在想定している第3期計画における主要な取り組みとしまして「企業店舗等を誘導する仕組みの構築」「図書館などの人がつながる場所の整備」「回遊性を高める歩行者空間の整備」「多様な居住の選択肢を提供する仕組みの構築」「市内循環バスの利用促進」を掲げており、実現手法としては新たにエリアマネージメント活動なども取り入れて推進することとしています。
次年度に予定している第3期計画策定にあたり、当初予算におきまして、計画策定経費の他、土地利用状況の調査費や社会実験の委託料等の予算計上を行っています。
指摘のありました他の計画との連携を含め、より実効性のある内容となるよう推進手法を検討していきます。
【質問④】
本市全体のまちづくりの基礎となっている総合計画の「快適な都市環境の形成」には、中心市街地と地域を交通ネットワークで繋ぐことがうたわれていますが、多極ネットワーク型のまちづくりには、地域拠点の活性化も重要であると考えます。
先に紹介したとおり、中心市街地については様々な計画が進行していますが、市ホームページに掲載されている都市計画マスタープランや、鶴岡市まち・ひと・しごと創生総合戦略においても、地域拠点を推進する担当部署が明確になっていないように見えます。
地域拠点の形成が図られ、中心市街地との行き来が活発になってこそ、多極ネットワーク型のまちづくりが構築されると思いますが、中心市街地活性化基本計画と同様に、地域拠点を活性化するための計画が必要ではないかと考えます。地域拠点の活性化についてどの様に考えているのか。
【答弁④】
多極ネット型まちづくりにおける地域拠点の活性化について、中心市街地と地域拠点等をそれぞれコンパクトに形成し、それらを地域公共交通でつなぐことで、次世代に引き継げる持続可能な街づくりを推進する必要があると考えています。
中心市街地と地域拠点の往来など、地域拠点の活性化は大変重要であり、将来ビジョンにおいても中心市街地と地域拠点の両立が必須であると位置づけています。
現在、朝日庁舎の改築や藤島文厚エリア(通称)の施設整備のあり方等を検討しているところであり、それぞれの地域づくりに取り組み、地域拠点の活性化に向け取り組んでいきます。
【質問⑤】
地域庁舎に都市計画を推進する職員が配属されていないため、地域拠点については活性化が図られていないように感じます。
本市全体のまちづくりを進めるためには、本庁舎と地域庁舎が連携しやすい組織機構に見直すことと、職員体制を強化することが必要と考えますが、どの様に考えているのか。
【答弁⑤】
本所と地域庁舎が連携しやすい組織機構と職員体制については、多局ネットワーク型まちづくりを進める上で、重要な要素であると認識しています。
現在、改築を進めている朝日庁舎をモデルとして、各地域の特性を踏まえつつ、地域の核となる地域庁舎の機能や都市計画まちづくりを含む、本所と地域庁舎の連携体制など必要な組織職員体制について、引き続き検討を進めていきます。
●「新年度予算と財政見通し」について
【質問】
新年度の予算を見ると、新たに建設する施設や大規模の増設を見込んでいる施設などの予算が計上されており、普通建設事業費が前年度比で35.9%増になるとされています。
一方で、本市の人口が2040年代には8万人台になると予想されており、「人口減少による税収の減少」「高齢化率42.9%になることによる社会保障費の増加」「公共施設やインフラの老朽化対策費の増嵩」など、今後の財政運営は厳しくなることが想定されます。
今後、維持補修費の増加が市財政に大きな影響を与えると思われますが、どの様に考えているのか。
【答弁】
公共施設等にかかる修繕や更新などの維持補修費は施設の老朽化の進行に加え、昨今の物価の高等などにより、今後も増加傾向で推移することが見込まれます。
これらの維持補修費の年度間の平準化を図りながら、老朽度や緊急性などに応じ、計画的に施設設備の修繕更新を行っていきます。
また、中期財政見通では施設等の維持補修費も含めて作成していますので、その中で財政運営への影響を確認していきます。
将来の財政見通しですが、産業の振興などによる税源の涵養に努めるほか、市民ニーズを踏まえながら、後期基本計画に基づく事業予算の重点化を図りつつ、事務事業の見直しの徹底など、行財政改革の取り組みを進め、中期的な財政見通しを持ちながら財政運営の持続性を確保していきます。