2025年3月定例会・一般質問(新学校給食センターの整備、有害鳥獣捕獲後の対応)

●「新学校給食センターの整備」について

【冒頭】
 先日、市長から「新学校給食センターの整備にあたり、2025年度に運営準備委員会を立ち上げ、調理を担う主体や方式を検討する」と、新たな方針が示されました。
 その方針は、調理と洗浄部門の民間委託を撤回するという内容ではなく、現段階においての検討が不十分であり、調理に関する専門家の意見も取り入れて結論を出していくと受け止めました。
 新たに設置される運営準備委員会で検討される内容は、副市長を委員長に話し合われてきた庁内検討委員会の案が基本になるため、DBM方式による民間委託が効果的であるとの認識が簡単に変わるものではないと考えます。
 わたしは、学校給食の民間委託や法人化に反対であり、教育の一環である学校給食事業は市の責任において、直営で運営することが王道だと思って、学校給食を調理してきました。
 現在の学校給食センターの建設にあたって、設計案や調理同線、ドライシステムの導入、調理機器の発案などを手掛けた観点から、新学校給食センター整備基本計画(案)を作成するにあたって、庁内検討委員会が判断した5項目について質問をします。
【質問】
 「調理・洗浄業務の民間委託により、効率性が発揮できる」と記載しているが、民間委託にすると、どの様に効率的に運営されるのか、直営の調理では効率的に運営されていないのか、それは何故できないのか教えてください。
【答弁】
 新年度、運営準備委員会において、学校給食の確実な質の向上と未来の調理現場を作る観点から調理を担う主体・方式・教育などの具体的な内容を検討していきます。
 効果についても運営準備委員会の中で検討していきたいと考えています。
【質問】
 「民間事業者は、学校給食の調理や管理に特化したノウハウを持っており」と記載しているが、民間委託の現場で働く調理員の雇用が不安定な中、調理や管理に特化したノウハウがどの様に維持、継承されるのか教えてください。
 民間委託の特化したノウハウとはどの様なものなのか、直営の調理ではノウハウがないのか、それは何故ないのか教えてください。
【答弁】
 直営・民間のどちらが担うのかということに関わらず、学校給食の確実な質の向上を図る観点からその仕組みを検討していきたいと考えています。
【質問】
 「民間事業者の技術力や経営理念等を導入して、合理化を図り、経費の削減に努める」と記載していますが、民間事業者の技術力や経営理念等について、具体的な内容が明記されておらず、どの様に経費削減ができるのかが不明確です。
 民間事業の経営理念は収益がなければ、即、撤退するなどの実例もあり「調理・洗浄、配送、残渣処理、維持管理」の役割を受託した業者は、どの様に収益をあげることが可能なのか、民間委託する部門のどの点が経費削減の効果につながるのか教えてください。
【答弁】
 行政において、経費の増大を招かないよう削減に努め取り組んでいるところで、確実な質の向上を図りつつ、実現可能な方法について検討していきたいと考えています。
【質問】
 「学校給食の充実」がどの様に図られるのかが不明確です。
 郷土食や行事食、食育指導は現在も市が担当していますが、「鶴岡らしい給食」とはどの様なものを考えているのか教えてください。
 また、民間委託後も充実されていくと判断した根拠を教えてください。
 食材や原材料の購入は現在も市が担当しており、地産地消の推進とアレルギー物質の除去等は現段階でも可能だと思いますが、民間委託すると段階的に充実されていくと判断した根拠を教えてください。
【答弁】
 「鶴岡らしい給食」とは、学校給食発祥の地、ユネスコ食文化創造都市としての取り組みとともに、地産地消の推進、学校等における食育などの活動を推進していくことで、基本計画案では重点的に取り組む事項として位置付けています。
 「鶴岡らしい給食」が充実される根拠については、直営か民間かという観点ではなく、学校給食の確実な質の向上を図る観点から、調理を担う主体・方式等を検討していきたいと考えています。
 地産地消の推進とアレルギー物質の除去等については、整備基本計画案に記載の通り、本市の特徴的な食材の積極的な導入、それから専用調理室の整備・拡充などにより推進していきます。
【質問】
 「民間委託後の運営状況」をどの様に精査したのかが不明確です。
 施設や機器の維持は、契約時の設計による仕様書どおりに実施するため、直営でも民間でも同じ経費が必要であり、直営で管理した方が直に問題点を把握して、適切な対応が可能だと思いますが、現場把握、設計、発注、完了確認業務を民間事業者に一任することに問題がないのか教えてください。
 民間委託は総額で契約しているので、民間事業者の運営状況は把握できないとの話がありますが、調理員の募集広告によれば、低賃金で募集しており、市の設計した人件費を下回ることに問題がないのか教えてください。
 契約期間を15年とした場合、15年後に学校給食の運営を把握している職員がいなくなることが想定されますが、その後の展開について、誰がどの様に判断していくのか教えてください。
【答弁】
 施設や機器の維持を民間に一任することについては、業務内容や実施体制などを記載した要求水準書通りに維持管理が行われているか、モニタリングにより確認していきます。
 調理員の募集広告は低賃金で募集しており、市の設計した人件費を下回ることがないかについては、調理を担う主体・方式等につきましては、運営準備委員会におきまして、未来の調理現場を作る観点から検討していきたいと考えています。
 15年後に学校給食を把握している職員がいなくなることが想定されるが、その後、誰がどのように判断するのかということについては、運営を把握することができる体制を継続して、市が責任を持って運営していきたいと考えています。
【最後に】
 3月4日の本会議で示された新年度の基本姿勢並び政策に対する7番議員の学校給食センター改築に関する総括質問に市長から「2025年度に運営準備委員会を立ち上げて調理を担う主体や方式を検討する」との答弁がありました。
 冒頭の説明では「新たに運営準備委員会を立ち上げ具体的な検討」を進めていくとのことであり、2月20日の議案配布時、通告内容の確認取材においても「調理を担う主体や方式を検討する」との説明もなく、パブリックコメントでも「調理・洗浄の民間委託」を表記した意見募集になっています。
 また、2月14日の主要事項説明会でも「調理を担う主体や方式に方式を検討する」との説明がなく、ほとんどの市議会議員は調理・洗浄は民間委託で進行していくと認識していたと思います。
 議案配布時から市政運営の基本姿勢並び政策が変更されたのであれば、その旨を示すべきであり、この度「調理を担う主体や方式を検討する」との事前説明があれば、わたしは別の質問を考えていました。
 このような市の対応については遺憾であり、経過について納得の行く説明を求めるとともに、調理・洗浄の民間委託を削除することを求めます。
 市職員が「学校給食発祥の地として、子どもたちに喜ばれる学校給食作りを基本に学校給食の発展に邁進してきた歴史」を紹介してきたが、庁内検討委員会で評価・協議してきた経過が無い、新しく設置される運営準備委員会では検討課題にするよう申し入れて質問を終わります。

●「有害鳥獣捕獲後の対応」について

【質問】
 全国的に、野生動物による生活被害や農林業被害などが深刻化しており、本市でも熊、猿の市街地への出没が増加し、森林や農作物に甚大な被害をもたらす猪や鹿の出没も多くなっています。
 猪は捕獲を開始した2017年に比べて、2024年の捕獲頭数が7倍になるなど、中山間地だけでなく広範囲に出没しています。
 同年の比較で、熊は3倍、猿は1.5倍になるなど、有害鳥獣の捕獲は本市における農林水産業の重点課題になっています。
 この様に、有害鳥獣の捕獲頭数が増えているなかで、捕獲後の適正処理は捕獲従事者にとって負担が大きくなっており、見直さなければならない状況になっているのではないでしょうか。
 本来、有害鳥獣の頭数制限による捕獲は自治体が主体的に行う業務であり、捕獲にあたって狩猟免許が必要であることから、猟友会の協力によって実施できていることを改めて認識するべきです。
 猟友会員の減少と高齢化が進んでいることもあり、捕獲従事者の負担軽減について、どの様に考えているのか教えてください。
【答弁】
 猪による被害は平成28年度に、羽黒、朝日、温海地域で確認されて以降、出没範囲が拡大しています。
 今年度の猪の捕獲頭数は市内全体において、1月末時点で157頭となっており、これは昨年同時期の65頭から2倍以上の増加となっています。
 鳥獣を捕獲した場合は鳥獣保護管理法において、原則として現場から持ち帰ることとし、止む負えない場合に限り、生体系に影響を与えないような適切な方法で、埋設することとされています。
 このため、捕獲後は捕獲場所からトラックなどの車両まで運び出し、自宅などに運搬後に可食部を除いた皮や骨などの残渣を埋設する方法が一般的となっています。
 これまで、猟友会員や実施隊員の方と捕獲作業の課題について協議したところ、先ほど述べた一連の作業は大変負担が大きいという意見を頂いています。
 特に冬は積雪のために車両の入る箇所が限られていることから運び出す距離が長くなり、夏の捕獲に比べ労力がかかるというような声もお聞きしています。
 本市において、猪を捕獲した場合、捕獲活動経費や運搬焼却処分費などに対し、1頭あたり1万2,000円から1万5,000円を補助していますけれども、補助金だけでなく、同じような問題に対応している他自治体の先行事例を調査するなど、捕獲充実者の負担軽減に対する支援の方法について、検討していきたいと考えています。
【質問】
 有害鳥獣の捕獲頭数が増大しているなかで「適切に埋設する場所や作業の確保が困難である」「埋設した後の土壌汚染など衛生面での問題がある」などの観点から、粉砕後焼却、生物処理後焼却、資源化を実施している自治体も増えてきています。
 適切な処理が困難な場合を除いて、可能な限り捕獲個体を現場から搬出し、自治体が提供する処理システムなどによって、適正に処理していくことが重要だと思いますが、どの様に考えているのか教えてください。
【答弁】
 捕獲解体後の皮や骨などの残渣を埋設するには、野生動物からの掘り起こしを防ぐため、ある程度の深さが必要となり、捕獲従事者にとって大きな負担となっています。
 こうしたことから、本市では鶴岡市鳥獣被害防止対策協議会の取り組みとして、令和7年度に簡易減容化施設を2箇所設置し、捕獲後の処分に対する負担軽減を考えているところです。
 微生物により残渣を分解処理する方法で、コルゲート管と呼ばれる直径1m、長さ4mの管を縦に地中に埋設して、その中に捕獲した野生鳥獣の残渣分解を促す発酵補助剤を投入することで、残渣の容積縮小の促進と臭気の低減を行うというものです。
 先行して実施している和歌山県によると、規模によりますが、一般的な生物処理施設や専用の焼却炉の建設に数千万円かかる費用に比べ、格段に安価な施設ということになるようです。
 また、東北一の面積である本市の場合、安価な施設を複数箇所に設置することで、運搬距離の問題も解決できるのではないかと考えています。
 設置後は、施設利用者の意見や要望などを聞きながら、匂いや分解の状況を確認しつつ、今後の処理方法として効果を検証していきたいと考えています。
【質問】
 本市で、捕獲された鳥獣の種ごとの平均重量に対し、食肉として利用可能と思われる部位の歩留まりを求め、頭数で単純に計算すると、2022年は3,000kg、2023年は4,200kg、2024年は2,900kgになると考えられます。
 全国では、有害鳥獣として捕獲された鳥獣をジビエやペットフードに加工するなど、命を大切するという観点から、食材資源として活用する取り組みを行っている自治体もあります。
 ユネスコ食文化創造都市である本市が、本場ヨーロッパに負けない、中山間地におけるジビエ料理を推奨していくことは、食文化の継承として意義のある取り組みだと思いますが、どの様に考えているのか教えてください。
【答弁】
 野生鳥獣の食肉処理をするにあたっては、放射能物質の全頭検査の実施や捕獲後2時間程度で食肉処理施設まで運搬する方法、販路の創出など多くの課題があります。
 一方で、ジビエの普及は捕獲頭数の増加だけでなく、捕獲鳥獣を地域資源として利用することで、農山村地域の所得向上につながる可能性も考えられます。
 このような中で、今年度、市内の民間事業者によるジビエ食肉処理施設の設置が計画され、本市では冷凍庫などの施設導入に対し、支援をしているところです。
 ジビエの利活用が進めば、現在の捕獲従事者が行っている捕獲後の処理作業の軽減も図られることから、今後もジビエの利活用に向けて、調査研究を進めていきたいと考えています。
【最後に】
 1点目の現場から搬出するなどの課題は、従事している猟友会の皆さんと相談をして、より負担のない政策を考えていただきたいと思います。
 2点目の適切な処理に関係して、コルゲート管による処理を令和7年度から実施していくとの答弁がありました。
 1箇所に多くの鳥獣が埋められて、微生物で分解していくとの考え方のようですが、設置箇所をどこにするのか、果たして減容化になるのかどうかという問題などがあります。
 また、その管に雨水が溜まるとその水が汚染されるというような事例も発生しているようなので、十分気をつけて実施していただきたいと思います。
 この課題も、従事している猟友会の皆さんと協議する必要があると思います。
 3点目のジビエなど利活用に関して、数年前に解体施設の設置とジビエ利活用に関する提案が、朝日庁舎からありました。
 まちづくり未来事業として、活用できる課題ではなかったかなと思いますが、捕獲頭数が少なかったこともあって、市として設置は難しいというものでした。
 今となれば、鳥獣の捕獲頭数が増えてきており、早急に対応するべき課題になっていると思います。
 全国で命を大切するという観点から、食材資源として活用する取り組みが進んでいます。
 放射性物質の検査や衛生面など、色々な問題もありますが、食文化創造都市としての側面もあるので、積極的に取り組んでいくようお願いして質問を終わります。