2023年6月定例会・一般質問(地域庁舎の機能強化、市有施設の環境改善)
●「地域庁舎の機能強化」について
【質問】
第2次鶴岡市総合計画における街づくりの基本方針は、鶴岡・藤島・羽黒・櫛引・朝日・温海それぞれの地域が個性を発揮するとともに、地域間の連携により市全体の活性化を目指すことにしている。
本市の現状において、特に中山間地域を抱える地域は人口減少・少子高齢化の傾向が顕著で、自治会組織の運営や地域を維持するための活動も困難なエリアも見受けられ、地域固有の課題に対応する地域庁舎の役割が重要になっているのではないか。
地域庁舎の機能や人員体制などを見直す時期に来ていると思うが。
【答弁】
第2次鶴岡市総合計画において、地域固有の特性や地域資源を最大限に活かし、地域住民が誇りと愛着を持ち、安心して暮らし続けることができる地域づくりを掲げており、各地域では地域まちづくり未来事業をはじめ、地域固有の課題解決や魅力を高めるための様々な取り組みが行われています。
地域庁舎はこうした市民協働の地域活性化事業を進める上で、また地域住民の身近な行政窓口として非常に重要な役割を担っていると認識しています。
これまでの地域庁舎の体制については、業務の内容や量、実態に応じて、その都度、課や室の集約など、組織の見直しを行ってきました。
職員配置についても採用された旧市町村の枠を超えた他庁舎との交流による育成を行うとともに、出身地・居住地を考慮し、その地域に精通した職員の配置に配慮してきました。
現在進められている朝日庁舎の再整備にあたっては、地域の核となる地域庁舎の機能がどうあるべきか、朝日庁舎内に設置した庁舎整備対策室と連携し、庁舎の改築スケジュールに合わせ、必要な機能・組織体制・職員数の検討を重ねてきました。
人口減少が著しい過疎地域での課題対応については、デジタル技術を活用した先導的な取り組みとして、オンラインでの市民相談や遠隔地との空間接続による証明交付、Wi-Fiを活用した高齢者見守り等、新しい形の市民サービス提供などの検証を始めています。
今後は、朝日庁舎をモデルとした地域庁舎の役割の検討を契機として、他の地域庁舎についても各地域の特性を踏まえつつ施策を推進する上で、より効果が発揮できる分野や方法がないか、本所の地域庁舎へのサポート体制も含めまして検討を進めていきます。
●「市有施設の環境改善」について
【質問①】
市民が申請や相談に訪れた際の窓口と通路、待合スペースが狭隘と思われる施設の環境改善について。
窓口の直ぐ後ろを市民や職員が行きかう場所で、申請や相談を行っているフロアもあり、他人に知られたくない問題やプライバシー保護の観点から考え、落ち着いて申請や相談が出来るスペースを確保する必要がある。
近年は相談内容が複雑で深刻なものも多くなっているようで、場合によっては個室で相談が出来るようなスペースを確保する必要があると思いますが。
【答弁①】
市民の申請相談窓口の環境改善につきましては、昭和56年の本庁舎開庁以降、これまで市民の利便性の向上や多様化・複雑化する市民ニーズに対応するため組織改編や業務調整を行ってきました。
その結果、本庁舎に勤務する職員が、開庁当時の昭和56年の500人台前半から、令和5年現在、約660人とおよそ150人増加した現状があります。
特に、来庁者の多い1階のフロアについては、議員ご指摘の通り、申請者用のカウンターのある廊下や待合スペースなど、一部に狭隘なところが見られます。
また、複雑な事情を抱えた方や周囲の目を気にするような相談事案もあることから、プライバシーに配慮した相談室が必要な場面も見受けられます。
市施設を有効に活用しながら、市民の方が利用しやすいように環境整備を行うため、地下フロアの空きスペースの活用や書類の整理整頓、保管場所の見直しなど、余剰空間の捻出を工夫しつつ、現在使用している相談スペースの改善を含め、できるだけ早く市民の方が安心して申請や相談ができる空間を設置できるよう関係部署と検討を進めていきます。
【質問②】
執務室の環境改善について。機構改革や職務の集約化などによる職員体制の見直しやOA機器の増加に伴い、明らかに狭隘となっているフロアが見受けられる。労働安全衛生法の事務所衛生基準規則第2条によると、執務室は気積、空間の容積を労働者一人について10立方メートル以上、一般的な面積で1人1坪、3.3平方メートル程度と設定されている。1点目の市民の相談スペースの確保にも関わってきますが、業務の効率化やゆとりのある働き方の観点から、執務室の環境を改善する必要があると思いますが。
【答弁②】
近年の新型コロナウイルス感染症対策や臨時給付金事務、マイナンバーカード交付事務など、複雑で多様化する行政課題に対応するため、職員や会計年度任用職員を配置するとともに、執務スペースとして会議室の執務室への転用のほか、市職員研修会館や市役所別棟の会議室を利用し、本庁舎外での作業スペースの確保にも努めてきました。
先に答弁したとおり、一部執務室においては、手狭な状況であると認識しています。
今後はデジタル技術の活用とペーパーレス化を進めるとともに、いま一度、書類や備品の整理保管方法の見直しなども行いながら、限られた既存スペースの有効活用を図り、環境改善を進めていきます。
【質問③】
既存施設を活用し、業務の分散化を図ることについて。
施設の有効活用は、地域庁舎の機能強化や人員体制を見直すきっかけとなり、市民のためにも、そこで働く職員のためにも必要であると思われる。
朝日庁舎建設と供用開始後の取り組みとして「デジタルを活用した過疎対策・中山間振興の先導的役割を担う」ことが示されており、現在、本庁舎で行っている過疎対策・中山間振興業務を地域庁舎で行うことが想定される。
今後は、デジタル技術の活用とネットワークの充実によって、本庁舎や地域庁舎に関係なく業務を行うことが可能になるシステムの構築が必要になってくると思われる。
本市全体の既存施設を活用し、業務の分散化を図ることは、行政改革の重要な課題と考えますが。
【答弁③】
これまでも本所機能を他庁舎や施設に移転しながら業務の分散を進めています。
具体的には、平成18年度に教育委員会事務局が櫛引庁舎へ移転、平成19年度に農業委員会事務局が藤島庁舎へ移転、平成22年の総合保健福祉センター「にこふる」開所に伴いまして健康課が移転しています。
近年では小規模事業者経営継続支援事務や福祉臨時給付金事務の執務室を市職員研修会館に設置するなど、業務の分散を図りながら行ってきました。
デジタル技術の活用では、令和3年12月から地方公共団体情報システム機構が実施する自治体テレワーク推進実証実験事業に参加し、在宅勤務などの実証事業を進めています。
また、遠隔での会議の開催についてはWeb会議システムの導入により部長会議をはじめ、外部との打ち合わせや研修、職員採用試験などにも活用を図っているところです。
今後は、先ほど回答しましたとおり、既存スペースの有効活用を図り、環境改善を進めていきますが、整理整頓による対応にも限界があり、デジタル技術を活用するなど、工夫するとともに、市民サービスの低下を招くことがないよう慎重に見極めながら、組織機構の検討と合わせて業務の分散についても検討していきます。