2023年6月定例会・総括質問(第2次鶴岡市総合計画の後期の取り組み)

●「第2次鶴岡市総合計画」について

【質問①】
 第2次鶴岡市総合計画は引き続き「創造と伝統の街・鶴岡」の発展につながる施策の検討を進め、後期基本計画を策定していくとしているが、前期の「7つの施策の大綱」の進捗状況を見ると「目標に達成した施策が22%」「概ね順調に推移又は現状維持の施策が33%」「進展がない又は後退した施策が40%」「有効な数値がないため未集計となったのが5%」と報告されている。
 中間総括の評価・検証で不十分とされた項目や審議会で出された課題について、後期基本計画の取り組みにおいて、どのような対策を講じていくのか。
【答弁①】
 第2次鶴岡市総合計画では基本計画に定める主な施策の達成度を図るため、中項目の単位で成果指標KPI(目標の達成に向けた行動評価)を設定しています。
 設定した成果指標によるこれまでの取り組みの進捗評価については、全ての項目の達成度を数値に基づき客観的に4段階で判定するとともに、今後の取り組みや方向性について整理し、審議会に報告しています。
 主な評価結果を紹介すると、新型コロナ感染症の拡大による地方回帰の動きなども追い風となり、移住・定住施策による移住年間件数や教育旅行受け入れ学校数などの項目については、すでに目標を達成した一方で、観光入り込み客数や文化芸術活動の参加数などの人の移動交流を伴う項目については、計画策定時からの数値に進展がないあるいは後退している状況です。
 後期基本計画の取り組みについては、まずは現状と課題、市民意識の変化を的確に把握するとともに、達成度が芳しくなかった項目については、原因の分析をしっかりと行うことが重要であると考えています。
 その上で「施策や事業実施の方向性に誤りがないのか」「やり方に問題があるのか」「あるいは事業量が少ないのか」など、その原因を見極めながら適切な対応に努めていきます。
 合わせて進捗評価の意味や背景について、より具体的に表記するといった進捗評価の見える化の必要性についても、先の審議会でご意見をいただきましたので、今後、策定する後期基本計画を含め、市民の皆様にも分かりやすくお伝えするよう工夫していきたいと考えています。
【質問②】
 後期基本計画策定において重視するべき課題について、分野別専門委員会で多くの意見が出されており「5つの加速化アクション」を新たに加えただけで、計画の進展が図られるとは思えないが、後期の取り組みにおける「5つの加速化アクション」の有効性について、どのように考えているのか。
【答弁②】
 本年5月の審議会では、現下の情勢に対応し、今後5年間で総合計画の目指す都市像を実現するため、特に重視する視点として、「若者・子育て世代に選ばれるまちづくり」「SDGs未来都市の実現」「産業振興と人材育成」「交流人口の創出・拡大」「総合的なデジタル化戦略の推進」からなる「5つの加速化アクション」について、ご協議をいただきました。
 今後は総合計画の「7つの施策の大綱」及び「未来創造のプロジェクト」をさらに加速化していくために「5つの加速化アクション」とも紐付け、関連する施策を具体化し、総合計画の推進を図っていきます。
 推進に当たりましては総合計画を核として、人員配置や予算編成などとも連動して実効性を高め「5つの加速化アクション」に紐づく優先的かつ重点的に取り組む施策の実現を図ることで効果が発揮できるものと考えています。
【質問③】
 「5つの加速化アクション」には「総合的なデジタル化戦略の推進」が掲げられているが、各分野におけるデジタル化の具体的な取り組みについて、どの様に考えているのか。
【答弁③】
 本市は東北一広い地域を有していますが、点在する集落から中心市街地までの物理的距離といった課題や中山間地域を中心とした過疎化が進行しています。
 また、人口減少・少子高齢化の進行に伴う人手不足などの社会課題も抱えています。
 「5つの加速化アクション」に掲げる総合的なデジタル化戦略の推進は、こうした地域の課題解決のために、デジタル化の進展によるプラスの効果を地域社会に最大限取り入れることを目指しています。
 市民が将来にわたって、健康で安心して生きがいの持てる豊かな地域を実現するとともに、地域の企業や団体の生産性の向上や新規事業が継続的に生まれる地域の実現に向け、各分野や地域全体のデジタル化を推進していきます。
 具体的な取り組み分野については、昨年度、デジタル化の進展度と生活の満足度に関わる市民アンケート調査を実施しています。
 調査の結果、市民の関心が高かった「オンライン診療やヘルスケア情報の提供、見守りサービスなどの健康医療・介護分野」「災害情報の取得・避難場所やルートの案内などの防災分野」「助成金等の申請などの各種行政手続きのオンライン申請」の3つの分野を先行的に進めていきます。
 デジタル技術を積極的に導入し、各分野や地域においてデジタル技術を用いた市民サービスの向上や生産性の向上、事務の効率化等を図っていきます。
【質問④】
 鶴岡市総合計画の施策の大綱7地域の振興には「各地域固有の特性や地域資源を最大限に生かし、地域住民が誇りと愛着を持ち、安心して暮らし続けられることができる地域づくりを行います」との表題になっている。
 後期の取り組みを強化する「5つの加速化アクション」には「地域特性や地域資源の活用」について、盛り込まれていないようだが、自治会の構成が困難な地域も出始めていることなどを考えると、地域の活性化も重点課題として取り組む必要があるのではないか。
【答弁④】
 地域の活性化については、総合計画の施策の大綱である地域の振興に基づいて、鶴岡・藤島・羽黒・櫛引・朝日・温海の6つの地域がともに発展する町の実現に向けて、引き続きしっかりと取り組んでいきます。
 この中で地域の課題を的確に捉え深掘りをし、その解決に向けた施策に結びつけていくとともに、この度掲げた「5つの加速化アクション」の中の産業振興と人材育成や交流人口の創出・拡大などと、各地域の特性や固有の資源を生かした魅力ある地域づくりの取り組みを紐付けて、さらなる地域の活性化に取り組んでいきたいと考えています。
 後期基本計画の策定に当っては、旧町村単位で設置され、各地域住民の代表者などから構成されている地域振興懇談会においても、幅広い視点から意見交換を行い、今後の取り組みの方向性やより良い振興策・活性化策について検討を進めてきました。
 今年度は、各地域において地域振興計画の見直しを行う予定です。
 地域振興計画では後期基本計画に位置づける地域振興の方針のもと、各地域の特性や資源を生かした地域振興をさらに推進していくため、地域の目指す方向と重点的に推進する具体的な取り組みについて明らかにしていきます。
 両計画に基づきまして、議員からご提案がありました地域の活性化にも重点政策として取り組んでいきます。
【最後に】
 市長から、後期基本計画をより推進させていくためには、人員配置や予算編成などとも連動して実効性を高めていくとの答弁がありました。
 中間総括で報告のあった40%の進展がない又は後退した施策を、後期の5年間で達成率を引き上げていくためには、人的な対応が必要であり、第2次鶴岡市総合計画の推進にむけて十分検討していただきたい。
 今年5月26日に開催した第2次鶴岡市総合計画審議会について、本市のホームページに掲載し、市民に周知するよう申し入れて質問を終わります。