2022年11月倫理審査会(共産党)

倫理審査会設置までの経過
 10月27日、鶴岡市議会議員3名(無所属1名、鶴岡市議会公明党1名、新政クラブ1名)は、日本共産党鶴岡市議団(4名)が、政務活動費により発行している会派の広報紙「新つるおか」を巡って、鶴岡市議会議員政治倫理条例に違反(第3条第9号)しているとして、鶴岡市議会議長に審査請求を行いました。
鶴岡市議会議員政治倫理条例第3条第9号とは?
 第3条 議員は次に掲げる政治倫理基準をいかなる場合も遵守しなければならない。
 (1)~(8)省略、(9)各号に定めるもののほか、議会及び議員の名誉を損なうおそれのある一切の行為を慎み、その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。
日本共産党鶴岡市議団が倫理条例に違反していると審査請求された内容とは?
(1)政務活動費の手引きで、広報費について「政党活動や後援会活動、選挙活動等が
  掲載されている場合は、その割合に応じて按分すること」としている。
   広報紙「新つるおか」の経費において、印刷費は按分しているが、編集費は按分
  していない。
(2)広報紙の表題下段に、日本共産党の国会議員と山形県議会議員の氏名と連絡先が
  掲載されているが、紙面の割合に応じて按分されていない。
(3)5月に設置された政務活動費検討委員会(手引き見直し)で、上記2項について
  指摘を受け、問題との認識を持ちながら長期間に渡り放置した。
   8月に具体的な指摘を受けてから、編集費を按分する対応を行ったが、国会議員
  と山形県議会議員の氏名と連絡先は按分されていない。
政治倫理審査会(報告)
 議長は審査請求書の提出を受けて、政治倫理審査会(審査会)を設置、3回の審査会による審査結果の報告を受けて、対象議員に措置(陳謝)を通告しました。
 審査会(議長指名の議員による)は、新政クラブ(3名・うち1名委員長)、市民フォーラム(1名・副委員長)、SDGs鶴ヶ岡(1名)の委員で構成されました。
第1回政治倫理審査会(審査会の正副委員長選出、審査請求の適否確認)
 審査請求書を提出した議員から審査内容を聞き取り、提出議員退室後、委員の話し合いにより、「適」とする議員2名、「否」とする議員2名となり、同数だったため、委員長が「適」と判断し、3対2の多数決で、提出された内容について審査することになりました。

【審査する内容】経費の按分を実施していない、長期間に渡り放置した行為の2点
第2回政治倫理審査会(対象議員の聴衆、政治倫理基準に違反する行為の存否)
 対象議員4名から審査対象となった行為について、内容の聞き取りと質問を行いました。
 聴衆で「従前の政務活動費の手引きに、明確な按分基準は示されていなかった」「今日まで、政務活動費について報告してきたが、市民・議会・監査委員からの指摘はなかった」「編集費は印刷費と同様に返金する手続きを行っている」「国会議員と山形県議会議員の氏名と連絡先は、政務活動費の手引きが改訂された7月から掲載していない」という説明がありました。
 対象議員退室後、委員の話し合いで「政党活動や後援会活動、選挙活動等が掲載されている場合は、その割合に応じて按分することに反している」「従前の政務活動費を見直したのは不備があったからで、審査請求された事項は従前の内容に基づいて判断する必要がある」「国会議員と山形県議会議員の氏名と連絡先の掲載は、政党活動として市民から疑念をもたれる行為である」「そのような部分が曖昧だったので改正されたものと理解している」「新政クラブから具体的な按分方法が示されてから、見解と対応が報告されており、自主性が感じられない」「指摘どおりの回答ではなかったが、日本共産党鶴岡市議団としての見解と対応は行われてきた」などの意見が交わされました。
 議長から要請のあった「鶴岡市議会議員政治倫理条例に違反の存否」について「存」とする議員2名、「否」とする議員2名となり、同数だったため、委員長が「存」と判断し、3対2の多数決で、違反する行為があったとの審査結果になりました。
第3回政治倫理審査会(議長に提出内容の確認)
 審査請求書に係る審査結果報告書を確認して、政治倫理審査会を閉じました。
改訂前の政務活動費に基づいて判断する必要があると考えます!!
 この度の倫理審査会において、市民フォーラムは、違法性はなく、次の観点から、鶴岡市議会議員政治倫理条例に違反はしていない「否」と判断しました。
(1)審査請求は改訂前の政務活動の手引きに該当する事案で、広報費の「政党活動や
  後援会活動、選挙活動等が掲載されている場合は、その割合に応じて按分する」と
  してきたのは、議会であり、これまで議長や監査も指摘をしてこなかったこと。
(2)今年7月に新政クラブの指摘をうけて「政務活動の広報紙を原則とし、意図的に
  適切でない内容を掲載した場合は、当該経費全額の支出を認めない」と手引きが見
  直されたこと。
(3)日本共産党鶴岡市議団は協議を行い、一部返金の準備を行っており、指摘どおり
  の回答ではなかったが、対応は行われてきたこと。
(4)請求書や提出書類の不備や違法性はなく、問題があれば協議を行うべき課題であ
  り、不正の疑惑を持たれるおそれのある行為として、審査請求に値する事案なのか
  疑問があること。
解説 ・・・ 政務活動費の手引き広報費の改訂された部分
〇使途基準
 ・政務活動及び市政について、住民に報告し又は周知するために要する経費
〇支出できる経費
 ・会派及び無会派議員の活動報告等の広報紙発行に係る印刷代、郵送料、折込料
 ・議員個人で発行する広報紙に係る印刷代、郵送料、折込料
  (ただし、会派名が記載されたものに限る。)
【今年7月改定前】
 ・会派又は議員個人のホームページの作成、更新、維持管理に係る経費
  (改訂後削除)
 ※政党活動や後援会活動、選挙活動等が掲載されている場合は、その割合に応じて按
  分すること。(郵送料、折込料を除く)
【今年7月改定後】
 ※政務活動及び市政について、住民に報告・周知するための広報紙を原則とする。
  結果として、政党活動や後援会活動、選挙活動等政務活動費の充当が適切でない内
  容が含まれていた場合は、当該経費の4分の1の額を減じて支出すること。
  尚、意図的に適切でない内容を掲載した場合は、当該経費全額の支出を認めない。